目 的:東アジアにおける大規模臨床試験の計画を見据えて,日韓の糖尿病網膜症治療の現状について比較調査を行う.
対象と方法:2012年6~7月に日本糖尿病眼学会会員および韓国網膜硝子体学会会員を対象にアンケートを行い,日本120名,韓国91名の回答を得た.アンケート作成には,American Society of Retina SpecialistsのPreferences and Trends(PAT)surveyを参考にした.
結 果:局所性黄斑浮腫に対する第一選択として最も多かった回答は日本で副腎皮質ステロイドテノン嚢下注射(22%),韓国で抗血管内皮増殖因子薬硝子体内注射(31%),PAT surveyで局所光凝固(68%)であった.血管新生緑内障に対する手術では日本は線維柱帯切除術(57%)が多かったが,韓国ではほとんどが緑内障インプラント手術(74%)であった.
結 論:日本,韓国間で糖尿病網膜症の治療方針に差異がみられた.今後両者にとって納得のいくプロトコールで,意義のある臨床研究デザインをよく考える必要があると思われた.(日眼会誌117:735-742,2013)