目 的:初発翼状片に対して術中マイトマイシンC(MMC)を併用した有茎結膜弁移植術の有用性を後ろ向きに検討する.
対象と方法:宮田眼科病院にてMMC併用有茎結膜弁移植術を行った初発翼状片1,482例1,832眼の患者背景と,翼状片の位置および大きさを調査した.術後1年以上経過観察した1,188眼において,再発の有無とその時期を調査し,再発の危険因子と考えられる年齢,職業,性別,翼状片の大きさ,術者の手術経験について検討した.
結 果:患者の年齢は65.0±10.0歳(平均値±標準偏差),翼状片の位置は鼻側のみが99.0%であり,大きさは角膜輪部から瞳孔中心に向けて1/3径以上2/3径未満に及ぶものが55.4%と最多であった.再発率は3.96%であり,再発時期はすべて9か月以内であった.有意な危険因子は,患者年齢(p=0.028)と術者の手術経験(p=0.022)であった.
結 論:MMC併用有茎結膜弁移植術は,初発翼状片手術に有用であった.(日眼会誌117:743-748,2013)