論文抄録

第117巻第9号

臨床研究

ダウン症候群の小児304例の眼所見
富田 香, 釣井 ひとみ, 大塚 晴子, 加藤 久美子, 木村 明子, 白石 由美子, 新保 由紀子, 高田 京子, 富田 彩, 能美 陽子
平和眼科

目 的:ダウン症候群(以下,ダウン症)日本人小児例の眼合併症とその頻度を調べる.
対象と方法:2009年6月から2011年1月に来院したダウン症304例(平均年齢7歳4か月)の眼合併症について検討した.
結 果:遠視は69.1%に,2 D以上の乱視は58.5%にみられた.眼鏡は91.3%に必要であった.視力は8歳で平均0.305 logMARであり,検査法として乳幼児期は縞視標や絵視標が有効だった.斜視は36.5%にみられ,内斜視が23.3%と多かった.眼振は25.7%にみられ,立体視は46.0%に認められた.睫毛内反症18.8%,白内障10.5%,角膜疾患3例を認めた.網膜有随神経線維3例,偽乳頭浮腫2例,Leber先天盲様の網脈絡膜変性1例を含む眼底変化3例を認めた.
結 論:屈折異常や斜視など視覚感受性期内に治療を要する病態が高頻度でみられることが確認された.ダウン症では乳幼児期からの慎重な眼科管理が必要である.(日眼会誌117:749-760,2013)

キーワード
ダウン症候群, 屈折異常, 斜視, 視力, 立体視
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