背　景：視神経乳頭近傍にvon Hippel-Lindau病による網膜血管腫を伴った2症例を経験し治療効果を比較検討した．
症　例：症例1は47歳男性で左眼は増殖硝子体網膜症で失明，右眼は視力1.2であった．滲出性変化はなかったが，経過観察中に視神経乳頭近傍の網膜血管腫が増大した．ベバシズマブの硝子体内注射を3回行ったが効果がなく，網膜光凝固を施行した．Humphrey視野計で乳頭黄斑線維障害に一致して感度低下がみられたが，血管腫は縮小して視力は維持された．症例2は36歳女性で視力は両眼とも1.2であった．右眼の視神経乳頭下方に網膜血管腫およびその周囲に滲出性網膜剥離がみられた．網膜光凝固，ベバシズマブ硝子体内注射，経瞳孔温熱療法，光線力学療法，硝子体手術を行ったが視力は0.02に低下した．
結　論：滲出性変化の生じる前の早期に光凝固による直接凝固を行うことにより，視機能が保持される可能性が示唆された．（日眼会誌118：33-39，2014）