目 的:サルコイドーシス脈絡膜肉芽腫病変を高侵達光干渉断層計(HP-OCT)にて診断し,治療前後の形態を経時的に観察した.
症 例:77歳女性.肉芽腫性ぶどう膜炎の精査目的にて紹介受診した.初診時,左眼の雪玉状硝子体混濁および乳頭耳側に白色網膜下病変を認めた.ツベルクリン反応陰性.網膜下病変はHP-OCTにより,低輝度の脈絡膜占拠性病変を示していた.PET-CTにて心臓·縦隔への異常集積,両側肺門リンパ節腫脹よりサルコイドーシス臨床診断群と確定診断した.脈絡膜肉芽腫に対しトリアムシノロンアセトニド(ケナコルト®)テノン嚢下注射(STTA)を施行.治療に反応し,脈絡膜肉芽腫の消失をHP-OCTにて確認した.6か月後再発を認めたが,STTAの再投与で消失し,現在まで再発は認めない.経過観察中に完全房室ブロックを発症し,ペースメーカー植え込み術が施行された.
結 論:HP-OCTは,眼底深部の病変の占拠部位を詳細に描出可能であり,サルコイドーシス脈絡膜病変の診断·治療経過の観察に有効である可能性が示唆された.(日眼会誌118:1013-1019,2014)