論文抄録

第118巻第2号

臨床研究

先天白内障眼の角膜乱視
渡辺 交世, 松木 奈央子, 柳沼 重晴, 永本 敏之
杏林大学医学部眼科学教室

目 的:先天白内障症例における術前の角膜乱視について検討する.
対象と方法:2000年3月~2012年4月に検査·手術を行った6歳以下の先天白内障62例99眼(両眼性74眼,片眼性25眼),平均手術時年齢32.1か月を対象とした.角膜乱視はオートケラトメーターを用いて測定を行い,直乱視群,斜乱視群,倒乱視群に分類し乱視量を検討した.
結 果:角膜乱視は平均2.45±1.28 Dとなり,2.0 D以上の強い角膜乱視を65.7%に認め,直乱視群が83.8%(平均2.64 D)と最も多く,斜乱視群11.1%(平均1.43 D),倒乱視群5.1%(平均1.55 D)であった.また片眼性症例での平均角膜乱視量は白内障眼2.46 D,健常眼1.66 Dとなり,白内障眼で有意に角膜乱視が強かった.
結 論:先天白内障の角膜乱視は直乱視が多く,2.0 D以上の強い乱視が高頻度に認められ,片眼症例では健常眼よりも強かった.(日眼会誌118:98-103,2014)

キーワード
乱視, 角膜乱視, 先天白内障, 直乱視
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