論文抄録

第118巻第6号

臨床研究

拡大した涙点の経過と用いた涙点プラグの脱落率と合併症の検討
木村 健一1), 横井 則彦1), 稲垣 香代子1), 小室 青1), 薗村 有紀子1), 加藤 弘明1), 山田 潤2), 木下 茂1)
1)京都府立医科大学眼科学教室
2)明治国際医療大学眼科学教室

目 的:涙点プラグ挿入術(PPO)の合併症として涙点拡大がある.涙点プラグの脱落後に1.0 mm以上に拡大した涙点について検討する.
対象と方法:1.0 mm以上に拡大した涙点に対してPPOが行われた46例55眼74涙点の経過と,1.0 mm以上に拡大した涙点に対して行われたのべ133回のPPOに用いた涙点プラグの種類とその脱落率ならびに合併症について検討した.
結 果:涙点プラグのみで閉鎖が得られたのは33涙点(44%),肉芽により完全閉塞が得られたのは20涙点(27%),外科的涙点閉鎖術を要したのは21涙点(29%)であった.PPOには,より大きな,あるいは,より長いサイズの涙点プラグが用いられ,脱落までの平均期間は143.5±217.0(平均値±標準偏差)日,50%のプラグが残存している日数は50日であった.また,各プラグ間で脱落について有意差はみられなかった.さらに,挿入時に迷入はなく,肉芽形成を20.3%に認め,白色塊の形成は認めなかった.
結 論:拡大した涙点に対してもPPOで一定期間の閉塞を得ることが可能である.(日眼会誌118:490-494,2014)

キーワード
ドライアイ, 涙点プラグ, 脱落率, 涙点サイズ, 合併症
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