目 的:難治性視神経炎である抗アクアポリン(AQP)4抗体陽性視神経炎に関する全国アンケート調査を行い,その実態を検討する.
対象と方法:日本眼科学会の専門医制度認定基幹研修施設を主な対象に,2009年1月から2012年12月までに医療機関を受診した抗AQP4抗体陽性視神経炎患者の治療実績に関するアンケートを行った.
結 果:抗体陽性症例は188症例(男24人,女162人)で,年齢は平均値±標準偏差:52.4±15.5歳(14~88歳,中央値54歳)であった.初診時の視力は光覚なし~1.5(中央値0.05),最終視力は光覚なし~1.5(中央値0.2)だった.再発回数は1.5±2.3回(中央値1回)で,ステロイドパルス治療は3.3±4.1回(中央値2回)行われていた.血漿交換療法や免疫吸着療法などの追加治療が行われた症例と行われていない症例では,視力改善に有意な差は認められなかった.
結 論:抗AQP4抗体陽性視神経炎の臨床的特徴が明らかになった.血漿交換療法の有効性などのエビデンスを得るためには,適切にデザインされた前向き研究が必要である.(日眼会誌118:751-758,2014)