目 的:内因性ぶどう膜炎(endogenous uveitis:EU)および急性網膜壊死(acute retinal necrosis:ARN)の病態における各種ヘルパーT(helper T:Th)細胞の関与を解析すること.
対象と方法:EU 19例23眼,ARN 4例4眼,および黄斑上膜13例14眼(対照群)を対象とし,手術時に採取された硝子体液中のTh細胞関連サイトカイン,interleukin(IL)-1β,IL-4,IL-6,IL-10,IL-17A,IL-17F,IL-21,IL-22,IL-23,IL-25,IL-31,IL-33,interferon(IFN)-γ,soluble CD40 ligand(sCD40L)およびtumor necrosis factor(TNF)-α濃度を測定した.
結 果:EU群と対照群との硝子体液中濃度の比較においてIL-6,IL-10,IL-31,IFN-γ,TNF-αでは有意差がみられた.EU群とARN群との比較では,IL-1β,IL-6,IL-10,IL-31,IFN-γ,sCD40L,TNF-αの硝子体液中濃度はARN群で有意に高く,一方,IL-4,IL-17A,IL-22の硝子体液中濃度は有意ではなかったがEU群のほうが高かった.
結 論:EUではTh1,Th2およびTh17細胞,ARNではTh1および制御性T細胞がその病態に関与し,Th1細胞活性がその活動性の指標となり得る可能性が示唆された.(日眼会誌119:395-401,2015)