目　的：アトピー性皮膚炎に伴う網膜剥離は，裂孔の位置や形状が外傷性網膜剥離と類似している．その違いを明らかにするためアトピー性皮膚炎と鈍的外傷に伴う網膜剥離を比較検討する．
対象と方法：2006年から2011年に当院で手術を施行したアトピー性皮膚炎に伴う有水晶体眼での網膜剥離（アトピー群）41例51眼，鈍的外傷に伴う網膜剥離（外傷群）51例53眼を比較した．
結　果：アトピー群は外傷群に比べて年齢が低く，白内障の合併や両眼発症が多かった．外傷群では男性が多く，硝子体出血や虹彩炎を高率に合併していた．アトピー群では扁平な網膜剥離が多く，上耳側の毛様体裂孔が多かった．外傷群では胞状の網膜剥離が多く，上鼻側の裂孔が多かった．両群とも鋸状縁断裂が多かったことは共通していた．網膜復位率は，初回復位率は同等であったが最終復位率は外傷群が低かった．
結　論：アトピー性皮膚炎に伴う網膜剥離は，鈍的外傷に伴う網膜剥離と裂孔形態など類似点が多いが，両眼発症，白内障の合併や上耳側の毛様体裂孔が多い特徴があった．（日眼会誌119：457-463，2015）