目　的：Laser in situ keratomileusis（LASIK）術後眼への多焦点眼内レンズ（intraocular lens：IOL）挿入は，良好な遠近裸眼視力が得られても，コントラスト感度低下の懸念がある．LASIK術後多焦点IOL挿入眼の術後成績を検討する．
対象と方法：対象は，当院で回折型多焦点IOLを挿入した症例のうち，他院にて近視LASIK施行後に白内障を発症したLASIK群17例22眼と，LASIKを施行しておらず眼軸長26.0 mm以上の対照群16例18眼とした．術1か月後における視力（遠方および近方），等価球面度数，コントラスト感度を後ろ向きに比較検討した．
結　果：平均遠方裸眼logMAR視力は，-0.05±0.13/0.00±0.14（LASIK群/対照群），近方は0.10±0.13/0.16±0.18で有意差を認めなかった．平均等価球面度数は，-0.06±0.39 D/0.22±0.45 DでLASIK群は対照群より有意に小さかった（p＜0.05，対応のないt検定）．コントラスト感度は，12および18 cpdでLASIK群は対照群より有意に低下していた（p＜0.05，Mann-WhitneyのU検定）．
結　論：LASIK術後眼への多焦点IOL挿入は，良好な遠方および近方裸眼視力が得られるが，コントラスト感度低下に留意しなければならない．（日眼会誌119：613-618，2015）