論文抄録

第120巻第1号

臨床研究

ルテイン高含有ホウレンソウ摂取による黄斑色素密度に対する効果のパイロットスタディ
小沢 洋子1), 永井 紀博1), 鈴木 美砂1), 栗原 俊英1), 篠田 肇1), 渡辺 満2), 坪田 一男1)
1)慶應義塾大学医学部眼科学教室
2)東北農業研究センター生産基盤研究領域

目 的:加齢黄斑変性の発症予防には,ルテインを含む抗酸化サプリメントの摂取が推奨される.本パイロットスタディでは,将来,ルテイン高含有ホウレンソウを用いた予防介入試験を行うための予備データを取得する.
対象と方法:21~45歳の健康な非喫煙者11例22眼を対象とし,冷凍ホウレンソウを1日に75 g(ルテイン10 mg含有),2か月間毎日摂取させた.食物摂取頻度調査,黄斑色素密度測定,眼科的検査,血液検査を施行した.
結 果:ベースラインにおける食餌からのルテイン摂取量の平均値±標準偏差は0.87±0.76 mg/1,000 kcalであった.平均の黄斑色素密度・視力・血清ルテイン濃度は,ベースラインに比べ,摂取開始1か月後,2か月後でそれぞれ有意に上昇した.
結 論:ルテイン高含有ホウレンソウの継続的摂取は,生体内のルテイン量を増加させた.将来的なルテイン高含有食による予防介入試験の予備データが得られた.(日眼会誌120:41-48,2016)

キーワード
加齢黄斑変性, 予防, ルテイン, 黄斑色素密度, ホウレンソウ
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