目 的:屈折と生まれ月との関係は,どのような光環境要因の影響とその乳児期の感受性パターンを想定すると生じ得るのか求める.
方 法:小児病院を受診し,初診時に調節麻痺下の屈折検査を行えた小児13,757例を対象とした.屈折度で4群に分け,全国月別出生数で補正した生まれ月別の症例数からリスク比を算出した.各群の生まれ月によるリスク比を単純に理論化し,月齢感受性を未知数においた行列方程式を用い数学的に逆解析した.
結 果:影響した環境要因を日長と仮定した場合,月齢別感受性を示す方程式の解はばらつきが大きく2峰性の不自然さがあった.しかし年間平均日長からの偏差が影響したと仮定した場合,解はばらつきが小さく1峰性であり,4群ともに5月齢頃に影響が最大となる感受性を示した.
結 論:日長の偏差が5か月齢頃をピークとして屈折に影響すると想定すれば,屈折と生まれ月の関係が生じ得る.(日眼会誌120:533-539,2016)