目 的:硝子体手術を施行した白内障術後の急性術後眼内炎の起炎菌と術後成績の推移を検討する.
対象と方法:白内障術後6週以内に発症した感染性眼内炎に対し,当科で2008年4月から2015年12月までの間に硝子体手術を行った17例17眼(A群)と,1992年6月から2006年3月までの間に硝子体手術を行った52例53眼(B群)を後ろ向きに検討した.
結 果:硝子体手術時の術中検体からの起炎菌検出はA群で6眼(35%),B群で35眼(66%,p=0.03)であった.硝子体手術施行前に抗菌薬の硝子体内注射が施行されていた症例はA群で6眼(35%),B群で4眼(8%,p=0.01)であり,このうち硝子体手術時に起炎菌が検出されたのはA群で1眼(17%),B群で2眼(50%)であった.硝子体手術前の平均視力のlogarithmic minimum angle of resolution(logMAR)値はA群1.88,B群1.99で有意差がなかったが,A群で眼内炎発症から硝子体手術までの期間が有意に短かった(p<0.01).最終平均視力のlogMAR値はA群0.28,B群0.66で,A群で有意に良好であった(p=0.01).
結 論:最近の症例群では10年以上前の症例群に比して硝子体手術前に抗菌薬の硝子体内投与の割合が高く,硝子体手術時の起炎菌検出率が低く,硝子体手術までの期間が短く,最終視力が良好であるという特徴があった.(日眼会誌121:749-754,2017)