論文抄録

第121巻第2号

臨床研究

眼瞼脂腺癌に対するHughes変法の治療成績
真島 麻子, 後藤 浩, 木村 圭介, 柴田 元子
東京医科大学臨床医学系眼科学分野

目 的:眼瞼脂腺癌に対しHughes変法による眼瞼の再建を行った症例の治療成績と合併症について報告する.
対象と方法:東京医科大学病院眼科で2009年~2013年に脂腺癌と診断され,腫瘍の切除とともにHughes変法による眼瞼の再建を行った19例を対象に,患者背景と手術成績について診療録をもとに後ろ向きに検討した.
結 果:症例の平均年齢は71歳で,術後の経過観察期間は平均24か月であった.腫瘍の横径は上眼瞼で平均10.2 mm,下眼瞼が平均7.8 mmであった.腫瘍を切除し,瞼板・瞼結膜からなる複合組織の有茎弁(Hughes flap),および切除部位周囲の眼瞼皮膚を伸展皮弁とし,眼瞼を再建した.上下眼瞼の切離は平均33日後に行った.術後合併症は軽度の眼瞼内反,眼瞼外反,点状表層角膜症が各々3例,後に矯正術を施行した眼瞼下垂が1例,再発例は1例で,改めて拡大切除と眼瞼の再建を行った.
結 論:眼瞼脂腺癌切除後の再建にHughes変法は術後の眼表面に対する影響がきわめて軽微で有効な術式である.(日眼会誌121:125-129,2017)

キーワード
脂腺癌, 眼瞼, 再建, Hughes変法
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