論文抄録

第121巻第2号

臨床研究

血管新生緑内障に対するバルベルト緑内障インプラント手術の治療成績
東條 直貴, 中村 友子, コンソルボ上田 朋子, 柳沢 秀一郎, 林 篤志
富山大学大学院医学薬学研究部眼科学講座

目 的:血管新生緑内障患者に対して施行した,バルベルト緑内障インプラント(BGI)を用いた手術の治療成績,術後合併症について検討する.
対象および方法:本研究は後ろ向き研究である.2012年1月から2015年12月までの間に,富山大学にて眼圧コントロール不良な血管新生緑内障と診断され,BGI手術を施行し,6か月以上経過観察した31名35眼を対象とした.
結 果:患者の平均年齢は,62.7±13.9(平均値±標準偏差)歳,平均経過観察期間は22.0±12.7か月であった.術前平均眼圧は35.5±9.6 mmHg,術後6,12,24,36,48か月の平均眼圧は12.7±5.9,12.8±3.7,12.2±3.3,13.1±3.3,15.0±1.4 mmHgであった.術後視力の有意な改善は認めなかった.2眼にHoffmann Elbow脱出を認め,再手術を施行した.1年の術後生存率(手術成功率)は82.7%であった.術後処置を必要とした症例は認めなかった.
結 論:BGI手術はNVGに対して有用な治療方法である.(日眼会誌121:138-145,2017)

キーワード
バルベルト緑内障インプラント, 血管新生緑内障, 眼圧, 術後合併症, 糖尿病網膜症
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〒930-0194 富山市杉谷2630 富山大学大学院医学薬学研究部眼科学講座 東條 直貴
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