目 的:角結膜の再建に対する羊膜移植の用途と効果を明らかにする.
対象と方法:2007年1月から2016年5月までの9年5か月間に羊膜移植を施行した90名95眼について,用途,疾患の内訳,経過を後ろ向きに検討した.
結 果:実施された羊膜移植は用途別に3つに分類できた.上皮再生保護を目的とした羊膜パッチは遷延性上皮欠損14眼に施行され,13眼で上皮欠損が消失し,Stevens-Johnson症候群の1眼で穿孔を生じ角膜移植を施行した.角結膜の基底膜供給を目的とした羊膜グラフトは72眼に施行され,翼状片切除後1年以上観察できた32眼中5眼に再発がみられた.腫瘍切除後の17眼中3眼に再発を生じ羊膜移植の再施行で対応した.より深層への基質供給を目的とした羊膜スタッフは角膜穿孔9眼に施行され,全例に房水漏出停止を得た.術後7眼に角膜移植が施行され,残りの2眼はそのまま経過した.95眼全例で羊膜移植に関する合併症を認めなかった.
結 論:羊膜移植は3つの用途に分類され,それぞれ角結膜の再建に有効である.(日眼会誌121:359-365,2017)