論文抄録

第121巻第6号

臨床研究

一般臨床で行う色覚異常程度分類試案:Farnsworth Dichotomous Test D-15のキャップ数と彩度のシミュレーション
安間 哲史
安間眼科

目 的:色覚異常の程度分類には,Farnsworth Dichotomous Test D-15(以下,D-15テスト)を用いて「強度」と「中等度」を区分し,市川式ランタンを用いて「中等度」と「弱度」を区分する「馬嶋試案」がこの数十年来,利用されることが多かったが,市川式ランタンが製造中止になったため,これに代わるものが求められている.現在,「中等度以下」にまとめられている色覚異常者について,その程度区分ができないかを検討する.
対象と方法:D-15テストのそれぞれのテスト色票間に1個ずつ色票を追加して30個に増やしたもの,9個(P・1・3・5・7・9・11・13・15)あるいは6個(P・2・5・8・11・14)に減らしたものについて,混同色線に沿って色相環を圧縮するシミュレーションを行った.D-15テストの彩度をchroma 6と2に変えたものについても同様のシミュレーションを行った.
結 果:色票の数を減らすと色相配列検査をfailしやすくなり,D-15テストをpassする「中等度以下」の色覚異常者の程度を3群に細分化することができた.なお,D-15テストの彩度を変えてもその判定結果にはほとんど影響を及ぼさなかった.
結 論:D-15テストの色票数を9個あるいは6個に減らしたものを用いて色相配列検査を行うことによって,「中等度以下」に区分される色覚異常者の程度を細分化することができると考えた.(日眼会誌121:464-473,2017)

キーワード
Farnsworth Dichotomous Test D-15(パネルD-15テスト), 色相配列検査, 色覚異常程度分類, キャップ数変更, 彩度変更
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