論文抄録

第122巻第10号

臨床研究

光干渉断層血管撮影による滲出型加齢黄斑変性の脈絡膜新生血管検出
丸子 一朗, 古泉 英貴, 河野 泰三, 長谷川 泰司, 荒川 久弥, 飯田 知弘
東京女子医科大学眼科学教室

目 的:光干渉断層血管撮影(OCTA)は滲出型加齢黄斑変性(AMD)の脈絡膜新生血管(CNV)検出に有用であるが,その検出力はアーチファクトやセグメンテーションエラーによって左右される.今回,滲出型AMDの連続症例において手動解析や画質不良例除外などを行わずOCTA内蔵ソフトウェアの自動解析のみによるCNVの描出の有無を調査した.
対象と方法:東京女子医科大学眼科を受診した未治療滲出型AMDの連続症例24例25眼(男性19例,女性5例,平均75.4歳).全例で眼底所見,フルオレセインおよびインドシアニングリーン蛍光眼底造影と光干渉断層計で活動性のあるAMDと診断した.診断後にOCTAで自動解析された画像をもとにCNV所見の有無を評価した.OCTAの画質不良例も除外せず対象に含めた.
結 果:連続24例25眼の内訳は典型AMD 11眼.ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)11眼,網膜血管腫状増殖(RAP)3眼.OCTAによりCNVは88.0%(25眼中22眼)で検出され,病型別には典型AMD 90.9%,PCV 81.8%,RAP 100%で検出された.CNVが検出できなかった3眼では網膜色素上皮剝離3眼(100%),広範な網膜下出血2眼(66.7%)がみられた.今回の検討では1眼で画質不良であったが,CNVの判定は可能であった.
結 論:AMDにおけるCNVは現行OCTAの自動解析で88%と高率に検出された.検出を妨げる要因は網膜色素上皮剝離,広範な網膜下出血であった.(日眼会誌122:744-752,2018)

キーワード
光干渉断層計, 脈絡膜新生血管, セグメンテーション, アーチファクト, 網膜色素上皮剝離
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