目 的:光干渉断層計(OCT)を用いて網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)の動静脈交叉部を観察し,交叉部形態の特徴を調べる.
対象と方法:動静脈交叉部を同定できたBRVOの連続症例111例111眼を対象とし,OCTを用いて動静脈交叉部を中心に2方向撮影を行い,交叉部の動静脈交叉パターン,交叉部静脈の狭窄の有無,交叉部静脈内血栓の有無と存在部位を観察した.
結 果:閉塞部の動静脈交叉パターンは動脈が静脈の上を走行するAVパターンが55眼(49.5%),静脈が動脈の上を走行するVAパターンが56眼(50.5%)であった.交叉部静脈の狭窄は9眼(8.1%)でみられ,すべてVAパターンで,内境界膜と交叉部動脈に圧迫されていた.102眼(91.9%)では交叉部静脈の湾曲はみられるものの内腔は保たれていた.交叉部静脈内血栓は15眼(13.5%)でみられ,内訳はAVパターン55眼中2眼(3.6%)とVAパターン56眼中13眼(23.2%)であった.血栓の部位は,交叉部の上流が3眼,交叉部が4眼,下流が5眼,交叉部から下流にまたがるものが1眼,交叉部の上流から下流にまたがるものが2眼であった.
結 論:従来AVパターンが多いといわれていたが,約半数の動静脈交叉部はVAパターンであった.OCTはBRVOにおける動静脈交叉部形態の観察に有用であった.(日眼会誌122:920-927,2018)