目 的:正常眼圧緑内障の加療中に視交叉部腫瘍の合併が明らかになった4例を提示し,腫瘍合併を疑うべき所見について検討する.
症 例:合併した視交叉部腫瘍は,3例は下垂体腺腫,1例は鞍結節部髄膜腫であった.いずれの症例も急速な視野障害進行と片眼もしくは両眼の視力低下を伴っていた.2例では乳頭蒼白を伴っていたが,2例ではなかった.症例1の両耳側半盲所見は,10°内視野測定で初めて検出された.
結 論:緑内障症例に視交叉部腫瘍合併を疑う眼科的所見として,垂直経線を境界とする視野障害,急激な視力低下・視野悪化,乳頭蒼白などが挙げられるが,進行した緑内障症例では耳側半盲所見が判別しづらいことがあり,10°内視野測定が有用な場合がある.疑われる場合には積極的に頭蓋内画像検索を行うことが勧められる.(日眼会誌123:1101-1108,2019)