論文抄録

第123巻第8号

臨床研究

Baerveldtチューブシャント手術後インプラント露出症例の検討
井上 俊洋
熊本大学大学院生命科学研究部眼科学講座

目 的:緑内障Baerveldtチューブシャント手術(以下,バルベルト手術)後のインプラント露出症例の背景因子を検討すること.
対象と方法:2012年から2017年までに熊本大学医学部附属病院で行ったバルベルト手術の連続症例68例75眼を対象に,インプラントの露出症例を抽出し,背景を後ろ向きに検討した.露出症例の抽出については全症例を対象とし,群間比較では1例1眼(先行眼)を対象とした.量的変数に対してはWilcoxonの順位和検定,質的変数に対してはFisherの正確検定を行い,p値で0.05未満を有意とした.
結 果:インプラント露出例は4例4眼(5.3%)であった.いずれも増殖糖尿病網膜症に伴う血管新生緑内障眼に対し,BG102-350を上耳側の毛様体扁平部に挿入した症例であった.うち1例はプレートの偏位にチューブ露出を伴っており,インプラントの摘出に至った.他の3例は保存強膜の移植を行い,インプラントの摘出は不要であった.非露出群と比較して,露出群では血管新生緑内障,BG102-350の使用の割合が多く,年齢が若く,術前眼圧が高く,直前の濾過手術との間隔が短かった.
結 論:バルベルト手術後にインプラントが露出する症例には,ある程度共通の傾向がある可能性がある.(日眼会誌123:824-828,2019)

キーワード
Baerveldt緑内障インプラント, 術後晩期合併症, インプラント露出, 保存強膜, 緑内障
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