目 的:水疱性角膜症(BK)に対する角膜クロスリンキング(CXL)による長期的疼痛コントロールを検討すること.
対象と方法:BKに対する角膜移植手術を希望せず,2011年9月から2015年10月にかけて宮田眼科病院でCXLを施行して24か月以上経過観察が可能であった症例を対象とした.術後1,3,6,12,24か月時点における眼圧,中心角膜厚,疼痛の強さ,疼痛の頻度を診療録より後ろ向きに検討した.疼痛の強さと頻度はnumerical rating scale(0~10の11段階)を用いて評価した.
結 果:対象は11例11眼で,内訳は男性5例,女性6例,平均年齢79.5±10.9歳(平均値±標準偏差)であった.術前の眼圧は14.0±5.4 mmHgであり,術後に有意な変化は認めなかった.術前の中心角膜厚は790.1±171.2 μmであり,術後に有意な変化は認めなかった.疼痛の強さは,術前が4.9±3.2であったが,術後1か月には1.1±2.1へと有意に改善し,術後2年では0.0±0.0であった.疼痛の頻度は,術前が3.9±2.7であったが,術後1か月には1.0±1.8と有意に改善し,術後2年では0.0±0.0であった.
結 論:BKに対するCXLの疼痛抑制効果は,術後長期まで有効である.(日眼会誌124:15-20,2020)