目 的:日常生活活動(ADL)はリハビリテーションの評価指標として広く使用されるが,本邦にはロービジョン者のためのADL評価指標はない.本研究はロービジョン者用ADL評価指標の開発を目的とした.
対象と方法:ロービジョン者のADL測定に関連する国内外の文献や類似領域の調査票から項目を収集し国際生活機能分類(ICF)の「活動」の内容に照らし合わせて「日常視機能」に関する28項目と「日常生活活動」に関する9項目からなる暫定版を作成した.186名のロービジョン者を対象に暫定版指標の調査を行い,Rasch分析を実施した.各項目の評点段階のRasch分析を実施した後,各項目の項目難度と適合統計値を算出してRaschモデルへの適合度を検討した.さらに,0~100点の間隔尺度となる変換値を算出した.
結 果:Rasch分析の結果,評点段階は日常視機能項目3段階,日常生活活動項目4段階となった.Raschモデルに適合しない項目を除外した結果,日常視機能22項目,日常生活活動9項目にて評価指標が構成された.
結 論:日常視機能と日常生活活動の2段階によって評価するADL評価指標「the low-vision-specific function and activities of daily living measure(LVFAM)」が完成した.(日眼会誌124:783-793,2020)