目 的:糖尿病黄斑浮腫(DME)に対するアフリベルセプト治療について,導入期は浮腫が改善するまで必要時投与し,維持期は隔月投与とする新たなプロトコールを適用し,投与開始から12か月間の視機能予後を検討する.
方 法:中心窩網膜厚(CMT)が400 μm以上,視力がlogarithmic minimum angle of resolution(logMAR)値0.15~1.0の未治療の中心窩浮腫を含むDME患者49名49眼について,導入期はCMT<300 μmを得られるまでアフリベルセプトを毎月(最長6回)硝子体内投与し,その後,維持期は隔月投与を行った.評価項目は,投与開始から12か月後の視力改善度,視力改善度が0.3 logMAR以上変化した症例の割合,導入期のアフリベルセプト投与回数別の症例数,および12か月間の平均投与回数とした.
結 果:本プロトコール治療によって,12か月の平均視力改善度は0.17±0.24 logMAR(約8.5文字)の改善,また0.3 logMAR(15文字)以上の改善は30.6%(15例),増悪は4.1%(2例)で認められた.導入期に1回の投与でCMT<300 μmを得られた症例は18例(36.7%)であり,6回連続投与を要した症例は7例(14.3%)であった.12か月間の総投与回数は7.14±1.08回であった.
結 論:DMEに対しアフリベルセプトを導入期に必要時投与,維持期に隔月投与する治療プロトコールは視機能改善に有効であることが分かった.(日眼会誌124:794-801,2020)