高血圧性血管変化の指標としてKeith-Wagener-Barker(KWB)分類が世界中で用いられているが,眼科医による主観的な評価分類方法であり信頼性・再現性が低い.今回,脈絡毛細血管板の血流を測定することで高血圧性変化を数値として客観的に評価する方法を考案した.正常者361名と高血圧の症例206人の中心窩を中心とした黄斑部3 mm×3 mmの脈絡毛細血管板血流を光干渉断層血管撮影(OCTA)で測定し,解析ソフトウェアで血管密度・血管長・血管径を計算した.正常人の左右を比較すると有意差があったので,正常人308名の右眼を測定して影響する因子(性別・年齢・眼圧・眼軸)を調べると,中心窩1 mm×1 mmの血管密度は年齢にのみわずかな負の相関関係があった.最後に,正常人159名・KWB分類I群(35名)・II群(12名)を比較すると,高血圧性変化に伴い中心窩1 mm×1 mmの血管密度・血管長は有意に減少し,重回帰分析で同部位の血管密度・血管長はKWB分類にのみ有意な相関関係があり,他の項目(性別・年齢・ボディマス指数・検診時の血圧・視力・眼圧・眼軸・内服薬)とは関連しなかった.中心窩の脈絡毛細血管板をOCTAで測定することで,高血圧性変化の客観的評価となる可能性が示唆された.(日眼会誌124:886-895,2020)