目 的:磁気共鳴画像法(MRI)を用いて眼窩開き角を計測し,その有用性と再現性について検討する.
対象と方法:2015年1月から2018年4月までにバプテスト眼科クリニックあるいは京都府立医科大学附属病院眼科において斜視外来を受診した患者のうち,眼窩部MRIのT1強調画像を撮像し,画像解析が可能であった90例を対象とした.画像解析ソフトウェア(ImageJⓇ)を用いて眼窩開き角を計測し,再現性の指標として級内相関係数(ICC)とBland-Altman解析を用いた.検者間および検者内の再現性を検討した.
結 果:今回測定した全90例180眼の眼窩開き角の平均は46.9±4.7度(平均値±標準偏差)であった.検者間のICCは右0.506,左0.658で,検者内のICCは右0.784,左0.823であり,異なる検査者で行うと中程度の一致性であった.またBland-Altman解析では検者間,検者内ともにばらつきが少なく,眼窩開き角とばらつきには一定の傾向を認めなかった.
結 論:MRIを用いた眼窩開き角の計測は高い再現性を認め,今後の斜視の病態解明に役立つ可能性が示された.(日眼会誌124:479-483,2020)