目 的:長眼軸長眼に対する黄斑部網膜内層(GCC)厚による早期緑内障判定能について倍率補正と長眼軸長正常眼データベース(LAL-NDB)の有効性を検討する.
対象と方法:眼軸長26 mm以上の早期原発開放隅角緑内障56例56眼(前視野緑内障11例含む,Humphrey視野平均偏差>-6 dB)と健常眼72例72眼.光干渉断層計(RS3000,ニデック)でGCC厚を測定した.通常の正常眼データベース(RNDB)とLAL-NDBに対して構成眼の倍率補正ありとなしの2つのNDBをそれぞれ作成し,緑内障判定能(GCC平均厚10解析領域いずれかで95パーセンタイル未満を異常)を比較した.NDBの倍率補正の有無と被検眼の倍率補正の有無を一致させて検討した.
結 果:倍率補正なしのRNDBの感度・特異度はそれぞれ92.9%と61.1%であった.他の3つのNDBへの変更により感度に有意な変化はなかったが,特異度は倍率補正ありとなしのLAL-NDBでそれぞれ有意に改善した(p=0.0006,0.006).
結 論:黄斑部GCC厚による長眼軸長眼の早期緑内障検出能に対してLAL-NDBは倍率補正の有無にかかわらず有効である.(日眼会誌124:539-548,2020)