目 的:斜視患者の眼窩開き角を磁気共鳴画像法(MRI)を用いて測定し,後天内斜視との関連を検討すること.
対象と方法:2015年12月~2018年4月に京都府立医科大学附属病院眼科またはバプテスト眼科クリニックの斜視外来を受診し眼窩部MRIを撮像した142例のうち,斜視手術の既往を除外した90例180側(男性46例,女性44例)を対象とした.MRI撮像時年齢は平均値±標準偏差:45.3±23.8(範囲:7~89)歳.対象を6群に分け,内訳はA群:強度近視性斜視(眼球脱臼を生じている内斜視)10例,B群:近視を伴う後天性共同性内斜視(近視性後天性内斜視)17例,C群:外転神経麻痺7例,D群:A・B・C群以外の内斜視18例,E群:外斜視7例,F群:その他31例である.眼窩開き角は水平断で正中線と眼窩深部骨壁の外側が成す角を測定した.
結 果:眼窩開き角はA群が53.3±4.9°,B群が46.0±3.8°,C群が47.6±2.9°,D群が47.3±4.4°,E群が48.1±3.7°,F群が48.4±3.7°であった.
結 論:A群(強度近視性斜視)は他の5群と比較して,眼窩開き角が有意に大きかった(p<0.01).後天内斜視の発症に眼窩開き角が関連する可能性が考えられた.(日眼会誌124:555-563,2020)