論文抄録

第125巻第7号

臨床研究

Classic choroidal neovascularizationを有する典型加齢黄斑変性に対するアフリベルセプトtreat-and-extend(TAE)とラニビズマブTAEの2年成績の比較
星野 順紀, 松本 英孝, 菊池 悠佳, 森本 雅裕, 向井 亮, 中村 考介, 秋山 英雄
群馬大学脳神経病態制御学講座眼科学教室

目 的:Classic choroidal neovascularization(CNV)を有する典型加齢黄斑変性(tAMD)に対するアフリベルセプト硝子体内注射(IVA)とラニビズマブ硝子体内注射(IVR)によるtreat-and-extend(TAE)の2年間の治療成績を比較する.
対象と方法:IVAまたはIVRによるTAEを2年間継続できた未治療のclassic CNVを有するtAMD 34例34眼を対象とし,矯正視力,中心窩網膜厚(CMT),中心窩下脈絡膜厚(CCT),硝子体内注射回数,中心窩下線維性瘢痕の形成,新規網膜下出血,合併症を後ろ向きに比較した.
結 果:IVA群は17眼,IVR群は17眼であった.治療前データに両群間で差はなかった.矯正視力は両群ともに2年後まで有意に改善し,その改善量に差はなかった.CMT,CCTは両群ともに2年後まで有意に減少し,その減少量に両群間で差はなかった.2年間の硝子体内注射回数,2年後の中心窩下線維性瘢痕の形成頻度,経過中の新規網膜下出血の頻度においても両群間に差はなかった.両群とも重篤な眼局所および全身合併症はみられなかった.
結 論:Classic CNVを有するtAMDに対するIVAまたはIVRによるTAEは視力,滲出性変化の改善に有効であった.2年間の治療成績には薬剤による差はなかった.(日眼会誌125:673-681,2021)

キーワード
典型加齢黄斑変性, Classic choroidal neovascularization, 抗血管内皮増殖因子薬, treat-and-extend
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