目 的:昭和大学横浜市北部病院眼科(以下,当院)における水晶体再建術併用眼内ドレーンiStentⓇ(以下,アイステント群)とiStent injectⓇ W(以下,インジェクト群)挿入術の術後短期成績を比較検討する.
対象と方法:当院で2019年1月~2021年6月に水晶体再建術併用眼内ドレーン挿入術を施行し,術後3か月以上の経過観察ができた35眼を対象とした.アイステント群とインジェクト群における術後1か月・3か月での眼圧下降率,緑内障点眼スコア,屈折誤差,合併症を比較検討した.また,術前眼圧15 mmHg以上を高眼圧群,15 mmHg未満を低眼圧群とし,両群を比較した.
結 果:アイステント群では,術前に比較して眼圧が術後1か月に0.9±16.6%(平均値±標準偏差)上昇したが有意な上昇ではなく(p=0.9589),術後3か月に4.7±18.7%下降したが有意な下降ではなかった(p=0.5879).インジェクト群では,術前に比較して眼圧が術後1か月に15.3±16.0%(p=0.0097),術後3か月に20.7±14.9%有意に下降した(p=0.0007).インジェクト群では,アイステント群よりも術後1か月および3か月において術前からの眼圧下降率が有意に大きかった(それぞれp=0.0114,p=0.0211).インジェクト群において,術前と比較し術後3か月に術前高眼圧群では眼圧が25.8±15.2%下降,術前低眼圧群では11.8±9.5%下降しており,術前高眼圧群のほうが眼圧下降率が有意に大きかった(p=0.0439).
結 論:インジェクト群ではアイステント群よりも眼圧が大きく下降した.インジェクト群の中でも術前高眼圧群のほうが眼圧下降効果が高かった.(日眼会誌127:463-470,2023)