論文抄録

第127巻第5号

臨床研究

レーザースペックルフローグラフィの画質判定におけるvascular cloudの有用性
清田 直樹, 志賀 由己浩, 二宮 高洋, 山口 知暁, 面高 宗子, 中澤 徹
東北大学大学院医学系研究科眼科学分野

目 的:画質不良なレーザースペックルフローグラフィ(LSFG)画像を除外するうえで,視神経乳頭部vascular cloud(VC)の有用性について検討すること.
対象と方法:高・中・低画質のLSFG画像を,健常者と緑内障患者から収集した.それぞれの画質指数を3点,2点,1点と定義し,Spearmanの順位相関係数を用いてLSFGパラメータとの相関を調べた.次に中・高画質のLSFG画像を画質良好群,低画質の画像を画質不良群として分け,画質不良群に対するVCの識別能を検討した.
結 果:高・中・低画質のLSFG画像をそれぞれ,健常者より44枚,28枚,23枚,緑内障患者より39枚,29枚,36枚収集した.両群においてVCは画質指数と正の相関を示し(いずれもr=0.75,p<0.001),画質不良群を識別するうえで高いarea under the curve(AUC)を示した(健常者:AUC=0.90,カットオフ値=0.24,緑内障患者:AUC=0.91,カットオフ値=0.28).中・高画質について,健常者では緑内障患者に比してVCが低かった(p<0.05).両群ともに視神経乳頭大血管mean blur rateが画質指数と強く相関した(r=0.65~0.78,p<0.001).画質不良群は画質良好群に比して,年齢が高かった〔健常者:68.4±8.6歳(平均値±標準偏差)vs. 53.9±13.9歳,緑内障患者:72.7±8.9歳vs. 62.0±8.6歳,p<0.001〕.
結 論:VCはLSFGの画質を判定するうえで有用である.(日眼会誌127:549-556,2023)

キーワード
緑内障, 眼血流, レーザースペックルフローグラフィ(LSFG)
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