論文抄録

第128巻第4号

臨床研究

学会原著
第127回日眼総会
前眼部光干渉断層計を用いた後房型有水晶体眼内レンズ挿入手術前後の隅角指標の変化
武田 尚子1)2)*), 栗山 卓也1), 佐々木 功1), 江口 秀一郎1)*)
1)江口眼科病院
2)地域医療機能推進機構東京新宿メディカルセンター眼科
*)本論文で等しく貢献した共同筆頭著者

目 的:後房型有水晶体眼内レンズ(ICL)挿入手術後に隅角は狭小化するが,その機序やICLハプティック固定部での局所的変化については検討されていない.本研究はICL挿入手術前後の隅角の形状変化をハプティック固定部の近傍と離れた部位で比較検討した.
対象と方法:1施設でICLの長軸を水平方向に挿入した19例37眼を対象とし,前眼部光干渉断層計で測定したtrabecular-iris space area 500(TISA 500),angle opening distance 500(AOD 500),trabecular-iris angle 500(TIA 500)について,ハプティック固定部の近傍として鼻側および耳側の上方22.5°,離れた部位として鼻側および耳側0°の値を術前と術後1か月で後ろ向きに比較した.
結 果:TISA 500,AOD 500,TIA 500は術前と比較し術後にいずれも有意に減少した(いずれもp<0.001,対応のあるt検定).ハプティック固定部近傍と離れた部位の4か所の測定点でそれぞれの変化率に有意差はみられなかった(p=0.78~0.93,一元配置分散分析;p=0.53~0.94,対応のあるt検定).
結 論:ICL挿入手術後に隅角は狭小化したが,ハプティック固定部の近傍と離れた部位で隅角形状の変化に有意差はなく,一様な変化を示した..(日眼会誌128:335-340,2024)

キーワード
後房型有水晶体眼内レンズ(ICL), 前眼部光干渉断層計, 隅角
別刷請求先
〒162-8543 東京都新宿区津久戸町5-1 地域医療機能推進機構東京新宿メディカルセンター眼科 武田 尚子
ntakeda.oph@gmail.com